
<講演者>
親野 智可等 氏
<プロフィール>
公立小学校で23年間教師を務める。教育現場の最前線に立つ中で、親が子どもに与 える影響力の大きさを痛感。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立てても らいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐでき るアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディ アで絶賛される。そして、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得て、メルマガ大賞の 教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メル マガとして最大規模を誇る。退職後は、全国各地のPTAや市町村の教育講演、本の 執筆に精力的に取り組んでいる。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られ る。メルマガ登録と講演依頼は「親力」で検索してHPより。
<著書>
「親力」で決まる!(宝島社)
親野智可等の学力が伸びる「作文力」教室(同)
親野智可等の頭がよくなる「算数力」教室(同)
今すぐ!ほめ上手な親になれる本(中公新書ラクレ)
「ドラゴン桜」わが子の「東大合格力」を引き出す7つの親力(講談社)
<親野 智可等 氏ホームページ>
日時:2011年11月3日(木祝)9:30~11:00
場所:大分センチュリーホテル2階桜の間
大分センチュリーホテル2階桜の間で11月3日、全国縦断WAOの教育講演会が開催されました。この講演会は能開センターの母体である㈱ワオ・コーポレーションが主催。講師は、メールマガジン「親力(おやりょく)で決まる子供の将来」で有名な親野 智可等さん。23年間の教師生活を元に、各ご家庭のリアルな教育の実態をみつめる親野さんのお話に、大勢の保護者の方々が約90分間笑いを交えながら熱心に耳を傾けていました。
近頃の子どもはよく叱られているからダメだ!?
親野さんは「子どもは非常によく叱られている。誉める親が少ない」と主張する...。
日常的に叱りつづけると子どもたちは「自分に自信がもてなくなる」自己否定を始めると話すのは親野さん。人格否定はいわずとしれた子どもの性格をけなす行動。兄弟を比較してお兄ちゃんはできていたのになぜあなたは・・・という類の話は、子どもの性質を否定する言葉として昔から教育的に避けるべきことと言われてきました。親野さんが言うこの“物事否定”は「キチンとしなさい!」「まだ食べてないの!」「宿題はやったの?」など、親が子どもに対して毎日の生活の中でついつい口にしてしまう小言の類。親野さんが教師時代に行なっていた子どもたちによる朝のスピーチでは、親の小言の話題は尽きることなく、毎日、教室内で共感の嵐が巻き起こっていたと話す。否定語で話しかけることで「(子どもたちは)自尊感情がなくなり、自己否定感情が強くなります。」「吸収力のよい子どものときに悪い自己イメージを形成してしまっては良い方向に向かいません。まず、誉めることが大切です。」と保護者の方々に警鐘を鳴らす。子どもは朝から晩まで叱られ続ける毎日、「私はできる、私は頑張れるという自己イメージを育てるようにしていってほしい」と心から訴えられていました。

皆さんが子どもの教育をあきらめることが大事
そうすれば子どもたちは安らかな生活を送ることができる。
子どものうちなら悪い部分は治るはず。この親の思い込みは井戸端会議でもよくでる話題。私たちも半ば当然のことと思いがちな内容として捉えています。子どもの悪い部分は厳しく叱り、早い段階で良い行動の習慣を定着させようと考えてしまいます。しかし、親野さんはこの行動に対してむしろ親だからこそ陥ってしまう失敗談として話をされます。「子どものうちになんとかしようと思うからこの小言が始まる。」と親野さん。究極的な方法として、「皆さんがあきらめることが大事。うまくいかないときは、目をつぶる。そうすれば子どもたちは安らかな生活が送れるようになる。」とまで語られます。「子どもを非難し、否定的に言う人が非常に多い。」それは子どものことを考えているからこそでる言動。でも、それは見方を変えれば、子どもの首根っこをわしづかみにして、子どもの「自己肯定感」を踏みにじる行動と親野さんはいう。「親というのはわが子に足して、親だから許されるという気持ちがある」。そして「子どもは自分のために叱ってくれていると親を必死で信じようとします」。だから、問題が見えにくく、子どもたちは無意識では、愛されていないかも・・・、受け入れられていないかも、という不安が蓄積されていく。日々の親子の一言一言が影響をあたえ、知らず知らずに親子関係崩壊をもたらしていくのだということを苦言されていました。
子どもたちは勉強をするとしかられると思っている。
また、親子の一言一言が影響を与えている例として、“子どもたちは勉強をするとしかられる”と思っているという話をされました。「この問題がなんでできないんだ」「もっとキレイに字を書きなさい」「もっと内容のある日記を書きなさい」など、勉強をさせようとして、しらずしらずに勉強嫌いにさせているというのです。勉強をしてもらうために、「勉強をすると誉められる」と認識される回路をつくることが必要。でも、実際は子どもが勉強をはじめると、ついつい否定後を発してしまう。「親が子どもにできることは、少し方法を工夫してあげられる程度。子どもが苦手でなかなかできないことに対しては自然にできるように合理的なシステムと環境を与えること。」親は「待つ」という資質を大事にして、子どもたちが自発的に行動をおこすときに備え、やれることをやるだけなんだと。「子どもの性質は親の責任ではない。気持ちをラクにして、できることをやる。結果を望まない。肩の力を抜いてできることを楽しみながらやってください。」と親野さんは諭します。

苦手でできないことがカンタンにできる方法論
そこで親野さんはカンタンにできる方法論をいくつか私たちに教えてくれました。「まず、誉めること。なんでもいいから勉強をしたときに誉める。漢字がキレイだったら字を誉める。それは部分でもいい、漢字がキレイだねとかそんな内容でいいから、まず、勉強をすると誉められる回路をつくること、まず誉める、最後に叱るというようにしていってほしいという。事実はなくてもとりあえず言うこと」「そして、目につくところに勉強道具をおくなど工夫をする」そして「最後に究極的にいい方法はあきらめることが大切」だと。
<方法論例>
○100点ファイル
人間はみなコレクターです。100点のテストをコレクションすれば、自然と100点を取りたくなります。点数の悪いテストなんて捨てればいいんです。
苦手な部分がある子には「ピンポイント修復」
苦手な部分を親が分析してあげてください。ノートを毎日確認してどうしてできないかを分析してあげるだけでいいです。
○リビングに図鑑10冊
学習漫画でもいいし、実体験でもいい。ポイントは知識の杭をうつこと。知識の杭があれば、頭に引っかかります。そうすることで、いつか、勉強したときにこの分野に興味がわくようになります。これには関して、数限りなくあるので、皆さんが方法を工夫していくことが大事だと話されました。
間違えた部分を集めたカードは宝物です。この部分ができるようになるだけでテストの点数は伸びていきます。
「共感」というキーワード
最後に親野さんはお越しいただいた方々にもう一つ重要なキーワードをお話されます。「子ども時代の一日一日を安からな生活にしてあげることが大事です。そして、子どもの話をたっぷり聴いてあげる。洗いざらい聞き、決していきなりNoとは言わないこと。否定的な言い方をやめてください。」まず、「どうしたの?」と聞いてあげてください。そして、「あのジャージほしいんだよね」と聞かれたら「前にかったでしょ」って言ってはダメです。まず、「どうしてほしいの?」と聞いてあげてください。そして、「誉めることによって、子どもは自己肯定感、他者信頼間をそだてます。言葉がよくなると、人間関係がよくなる。いいこといっぱい」。まず、事実はなくても誉めることが大事です。その言葉に子どもは決して悪い気をする子どもはいないことでしょう。そうすれば自然と信じていくようになります。粘り強くやっていくことが大事だとお話されました。実際、子どもの叱り方に関して、今、どうにかしようとあせりすぎてはいませんか。親野さんがおっしゃっていましたが、人生を1日にたとえると、子どもなんてまだ朝の6時。40歳で正午です。子どもの性質が治るには、まだまだ時間がいっぱいあります。今、あせる必要なんてなくて、子どもがやる気になったときに、最も役に立つことを支援してやるのが親のつとめなのではないかと改めて気付かされた講演でした。